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【何よりもうれしい知らせ。合格者4人目】

ひとりあたりの県民所得の全国1位の東京都が450万8000円に対して、沖縄県は210万2000円。大学進学率でいえば、やはり全国1位の東京都が72.7%に対して、沖縄県は37.6%(全国レベルとしては昭和50年前後の水準)。

所得と大学進学率の格差はともに倍くらいあるわけです。

島の高校生たちに進路カウンセリングを行うと「親に負担をかけたくないから」という理由で、「高校を卒業したら警察官になりたい」。あるいは、「国公立しか選択肢がない、ダメなら就職」という声が普通にあります。

生徒の中には、「大学に行く意味が見いだせない。だから、高校卒業後は海外に1年間留学して、その後起業家になりたい」というとがった子もいますが、家庭の経済事情が生徒の進路決断に大きく影響しているのは間違いありません。

このため、民間の塾と違い公営塾の使命のひとつには経済的理由から大学進学をあきらめざるをえない学生のサポートがあります(だから月謝は3000円。家庭の事情により減免制度もあります)。

昔から、神奈川大学の給費生試験のように4年間で800万円支給されるという大学が存在しますが、ユニークな入試制度を設けているのが東洋大学です。

この大学の「独立自活」支援推薦入試は、合格者が入学後、東洋大学の事務局で働きながら学ぶことで、沖縄県民の一人当たり平均所得にほぼ近い年間206万円の収入を得ることができます。

そもそも受験する際の入学検定料が無料。

学費は奨学金と給与から充分まかなえるうえ、希望者は学生寮にも入れるという苦学生には本当に魅力的な制度と言えます。

「苦学生」という言葉自体、あまり聞くことが少なくなり、そういう学生のために開設されていた二部や夜間部も多くの大学で廃止されてきましたが、東洋大学のような奨学制度は貴重な存在です。

ここを受験した生徒の合格発表の日。

果報は寝て待てといいますが、僕は海に出て待つことが多いです。川平に出かけて、帰ってきてメールを空けたら生徒から「合格」の知らせが届いていました。

受験を控えて、「映画制作よりも受験対策ではないか、優先順位が違うのではないか?」などという親御さんからご心配の声をいただいたこともありました。

その時はきちんと「なぜ、映画製作がAO推薦入試対策に有効か」授業の狙いを説明して納得していただきましたが、今日改めて本人とお母さんからの感謝と喜びの声をいただき、ほっとしました笑

本人は将来、国際ジャーナリストになりたい(小6で英検2級取得。国立大学医学部に進学する子もいる高校で英語は一番なので十分可能性はあり)と話しているので、夢に一歩近づいたと思います。

そこまで語学力が高い生徒が経済的な理由で進学をあきらめたら社会の損失ですし、東洋大学の「独立自活」支援推薦入試という戦略は、優秀な生徒を学生としてだけでなく、職員としても採用できる。

本人、社会、そして大学にとって三方よしの仕組みなのです。もっと他にも広がればいいのに...

例えば、大学だけでなく、企業が「独立自活」支援採用を行って、「うちの会社で働けば学費を捻出してあげるし、夜間に大学に通わせる」ということを売りに、優秀な学生を確保する。

経団連の就活ルールが本当に無くなって、企業が大学1年生も対象に内定を出すというならば、いっそのことこういう社会のためにもなる方法で、優秀な高校生を青田買いすればいいのにと思います。

学生を全国一律と思うと大間違いで、地方(特に沖縄)には偏差値という尺度よりも、経済的な事情を重要視して大学選び、ひいては進学の可否そのものを決める。 そんな昭和の時代に多く存在した優秀な苦学生が平成が終わろうとしている今も存在するからです。

石垣市公営塾からの4人目の合格者。今週、来週とAO/推薦入試の発表が山場を迎えます。


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